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山村浩二『年をとった鰐』

 アニメーション作家山村浩二 http://www.jade.dti.ne.jp/~yam/j_Body.html
が、フランスの作家レオポルド・ショボー原作の物語『年をとった鰐』をアニメーション化した作品が上映されている。ナレーションはピーター・バラカン。
渋谷ユーロスペース
http://www.eurospace.co.jp/
ショボーが描いた本の挿絵をもとに、山村が描き起こしている。舞台挨拶ではショボーの絵を「一見何気なく描いているようだが、実は骨格のある絵なので動かしやすかった」と語っていた。



(C)Yamamura Animation

 若い頃、ピラミッドが建つのを見たほど年をとった鰐は、いまはリュウマチに蝕まれ、魚も捕れない。心の底から嫌気がさして自分のひ孫を食べてしまったことで、子孫たちからも尊敬されなくなり、ナイルを去る。ある日タコと出会い、タコの彼女は魚を捕っては鰐に与えるのだが、さらに鰐は12本あるタコの足を、毎晩1本ずつ食べてしまう。タコはずっとそのことに気づかず、鰐は苦い涙を流す。やがて人間が鰐を神と崇め……。


(C)Yamamura Animation

 やさしい間柄なのに、いつのまにか欲望によって力関係ができてしまうことがある。疑わないタコの愛こそ大きいのだともいえるし、しかし自分の足で立つことができないまでに与えるというのは彼女の意志がしたことではない。そこにあるエロティシズムも含めて、割り切れなさとか、言葉にしきれないものとか、海に沈んだ底の方の石をずずっとどかされたような感じはするのだが、その泡は何なのか。最近、写真家の星野道夫が遺した「生き物の本質は他者に食べられること」という言葉をずっと考え中で、でもなかなかムズカしい問題だし、知らぬ間に自分が食べる側だったらと思うとゾッとする。



山村浩二のセレクトアニメーションも必見!

 また、『年をとった鰐』と同時に、山村浩二がセレクトしたアニメーション7本も上映されている。インドの監督、イシュ・パテルの『ビーズゲーム』は、ビーズの粒子が、蜘蛛の糸のようにリズミカルにかたちをなしながら展開する。


《ビーズゲーム》(C)National Film Board of Canada

カナダの『色彩幻想』は、オスカー・ピーターソンの音楽とノーマン・マクラレンのが共鳴しながら変転していく。あらかじめ録音されたジャズに合わせ、サウンドトラックの音の波形や強弱を見ながらフィルムに直接描かれている。


《色彩幻想》(C)National Film Board of Canada

スウェーデンのジョナス・オデル、エストニアのプリート・バルンなどの、アニメーションだからできる動きや絵の展開などに気づかされる。キャラクターや色の騒々しいアニメの看板があふれるなか、しかし同じ渋谷で、こうしたプログラムをレイトショーで楽しめるのもまた東京たるところ。





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