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ゾウの時間、ネズミの時間、風船おじさんの時間

寒中お見舞い申し上げます。今年もよろしくお願いいたします。

1943年生まれ、デビューから30年を越えるトム・ウェイツ。スパイラルレコード鶴谷聡平さんオススメで3枚組アルバム「orphans(オーファンズ)」を聴いてます。「声自体が楽器」という言葉通り、酔いどれた船乗りのように、艶男のように、旅芸人のように、モンスターのように、ガタピシ機械のように歌う。時層の厚さを感じます。
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/TomWaits/

児玉画廊で開催中の飯川雄大展「時の演習用時計」では時間がテーマ。
http://www.KodamaGallery.com
フットサルの試合時間を例えば一人のプレイヤーにだけ15分ハーフと告げ、他の選手は10分ハーフで闘うという試合を撮った映像作品「halftime」では、ホイッスルが鳴り、15分感覚で闘っていたプレイヤーは戸惑いを見せる。時計の時間は同じだが、身体感覚の時間が一人違うため、時間が断ち切られてぽかんとした表情をしている。


《halftime》

少年野球で手持ちぶさたの選手だけを追った映像。試合時間は皆同じだけど、例えば一向にボールが来ないメガネの中島君の時間の進み方は遅い。退屈だけど集中しないとならない子ども達は時折声を出したり足で砂をかいたりしているが、取り残されたみたいに間延びしている。



また、林の中や川辺などを定点撮影したものを時計時間とは別に編集し24時間で一回りするように編集した作品もある。一見何も動いていないようだが、葉の揺れや鳥の数で時間の経過がわかる。広場を24時間定点撮影した映像も、人が通り過ぎ、夜には夜の映像になるのでアバウトな体内時計のようだ。屋上にバルーンを上げ、風船に取り付けられたカメラが映し出した外の映像と、その風船を撮っているリアルタイムの映像もある。観客や働いている画廊スタッフも含め、会場にはさまざまな時間のサンプルが集まっている。



しゃくとり虫や倒れた木の根の時間を意識してみる。時間の尺というものを蛇腹みたいに変えられるだろうか。監視カメラにも見える、のんきに漂う風船カメラを見上げて思った。




同じ神楽坂にて、1月13日(土)14日(日)アグネス ホテル アンド アパートメント東京でアートフェアが開催された。
http://www.artatagnes.com/info.html
3回目の今回は、全館貸し切りで31画廊が参加し初めて一般公開された。午後には入場制限で行列ができるほどで、招待客を含めて約4500人を動員した。14日の夕方には入場できなかったお客も出た。イレギュラーなイベントでは、開館時間とスペースとプレス効果の相関をかなり調整しないとならない。そこだけの特色があり、広報を頑張れば人は来る。「いい状態でご覧になれなかったお客様には申し訳ないという思いもあり、来年の運営の教訓にしたい。また、その後ギャラリーに直接問い合わせもあり、若い観客の方も多くてアートの裾野が広がっていることを実感しました」と広報の市川さん。


タケフロ+ミサコ&ローゼン


内藤礼(ギャラリー小柳)や森村泰昌(SHUGOARTS)のように、1作家で空間を見せたものもあったが、いい部屋だなあと思わせる余裕なく作品が詰まっている画廊が多かった。また、ボイスプランニングのパフォーマンスは、オルタナティブスペースとしての意地を見せて面白かったが、演者を減らして空間を見せる方法があったようにも思った。


SCAI THE BATHHOUSE、青山|目黒


また、アートフェアに批評性のない作品も多く、次第に私は、ドレスアップした作品たちにかき集めた原稿料を注ぎ込むのは自分の執着心を見るようで潔くない気がしてきた。コレクターのように良質の作品を末永く保存できればいいなと思うが、少ない経験の中で私の場合は、案外どこかへっぽこだったり、希薄だけどパンクな作品に愛着が続くようだ。

そんななかで小金沢健人と泉太郎の初ユニット「コガネズミ」の部屋では、アートフェアの目的と、商業的な枠組みに迎合しない反骨精神とを両立させようとしていた。空間を広く見せ、照明を落とすなど、ホスピタリティを追究するホテルの時流とも合っていた。もちろんコレクターの層はもっと厚くしたい。と同時に作家も観客も商業主義への批評精神は持っていないと。

「バンドを組むという夢を、屈折したかたちながらアートで実現しようとした」というコガネズミ。公園で通り過ぎる人たちをビデオで写しながら「帽子―」「こどもー」「GAP〜」などと認識したものを、シャウトする代わりに語尾を延ばして一本調子で歌う映像「ゴム人間」。第三の人物の顔をベースに互いの顔半分を映像で入れ替えるモノクローム映像の「顔層人間」など、両作家の個性がハモッた作品は笑いを誘っていた。


左《ゴム人間》右《紙に二人で絵を描く》


ただ、2人でものをつくるのは“新婚”にはまだ難しかったのか、バスルームの作品と、両作家の似顔が半分ずつ描かれた風船の2作が合作だった。映像は私には手が届かないので、閉館まで待ってしゃれのわかる紳士が現れなかったら風船を買おうかなと思った。かくしてそんな奇特な人は現れず、いま風船「アグネス」は私の家にある。迎合した原稿料よ、さらば! 代わりに気概を買ったと思うのは自己満足だろうか。


《泡顔タブ》


4日後のアグネス氏





年末年始に借りたDVD

ニワトリはハダシだ
http://www.xanadeux.co.jp/niwatori/
森崎東監督の、生きているうちが花なのよ 死んだらそれまでよ節が今作にも。「ニワトリはハダシ」とは当前のことという意味。

バーバー吉野〜その町の少年は皆同じ髪型をしていた
http://www.pia.co.jp/pff/barbar/
町の中のはぐれもの「ケケおじさん」のやぐらでオペラのシーンも秀逸。

ムーミン絵本、それからどうなるの?
http://www.bigtimeweb.jp/dvd/archives/redv-00151.php
亡くなった岸田今日子さんの声が聴きたくて。スウェーデン製作のアニメーション。




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