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歌うように見た、鈴木俊輔の絵

銀座のなびす画廊で「春のおくりもの 2006」
http://www.nabis-g.com/kikaku/k2006/gifts-spring06.html
という絵画のグループ展が開かれている。そのなかに、今年のVOCA展 http://www.ueno-mori.org/tenji/voca/2006/index.html
にも出品する若手作家、鈴木俊輔
http://www.nabis-g.com/exhibition/2005/suzuki-s.html
の作品もある。鈴木の絵を見ていると、詩人の野口雨情などが「コドモノクニ」で発表した1920年代の童謡や、串田孫一 http://www.utrecht.jp/person/?p=30
の絵や言葉の世界を思い出す。それらのことを彼は知らなかったが、詩人のまどみちを http://www.interq.or.jp/japan/k3j/sakusisya/mado%20mitio.htm
など、画家とは名乗っていなかった人の絵が好きだと聞いて合点がいった。

 舟でも かいて みましょうと おさるが 舟を かきました
 けむりを もこもこ はかそうと えんとつ 一本たてました

 なんだか 少し さみしいと しっぽも 一本 つけました
 ほんとに 上手に かけたなと さか立ち 一回やりました
(まどみちを作詞『おさるが 舟を かきました』)

幼稚だと笑うだろうか。
楽しくてさみしい気持ちがするだろうか。

私は、今回の絵を見ていると、家に帰ろうとしてたどりつけない「あの町 この町」(作詞:野口雨情)http://www.d-score.com/ar/A03041001.html
を思い出す。かつて童謡は、大人が勝手に考える子どものレベルに合わせた幼稚な歌ではなかった。明るさと不条理と影のようなものが同時に描かれていた。私が子どもだった60年代後半〜70年代頭、すっきりとはわからないまま、幾度も赤や青のレコードにレコード針を落とした。


「untitle」2006年



「空」2006年


上の絵は、すっといい具合に力が抜けて描けた方。うまくいきすぎても失敗する(あざとくなる)んだという。下の絵は、それを壊そうと思ってガタガタしながらなんとかしてたどり着いた絵だという。一見したとき、上の絵にすっと眼がいった。下の絵はつきあい方に戸惑いを感じたんだろう。その、頭をぶつけたりつまずいて進んだりした感じに愛着が湧くかもしれない。

雨が地面にぶつかって落ちるなどのものが接触するリズム、感情のぶつかり、ほぐれ……アリや鳥の眼で見たりすると世界が変わる。



タウン・アンド・カントリー UP ABOVE

1月に出たアルバムhttp://www.faderbyheadz.com/release/headz66.html
だが、やっと買いに行った。仕事に忙殺されていて、日本にライブに来ていたのを知ったのは、京都のライブの前日。かなり迷ったが、また来ることを祈る。でも、タイミングがズレたからといって紹介しないでおくこともないだろう。HMVでもまだ試聴に入ってる。

town and country


前作は、耳をそばだてる合間が多かったが、今作はいきなりせきを切ったように、みんながいっせいに音出しして始まるといった感じだ。尺八やケーンなどの民族楽器も加わり、サイケデリックでフォーキーな音が押し寄せる。

東京で、自分を健やかに安定させるのは容易ではない。安定とは寄りかかったり変わらなかったりすることではない。雑踏や、降り掛かるもやのなかでも落ち着いて立っていられることだと最近思う。タウン・アンド・カントリーの音には揺さぶられるし不穏さもある。でも、不協和音も、驚くほど美しい音もいろいろな方向からやってくるなかで、連れられて、歩く足が高く上がって行く。自分を安定させるために、また何遍も聴くだろう。



映画『マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して』

渋谷のQ_AXシネマでモーニング&レイトショー中だが、ロングランになりそうな映画。 http://www.myarchitect.jp/
建築家ルイス・カーンには、3つの家庭があったという。1974年3月に、ニューヨーク、ペンシルバニア駅のトイレで、破産状態でしばらく身元不明のまま、亡くなっている。この映画は、私生児である息子ナサニエル・カーンが、父の建築を旅し、さまざまな証言者にインタビューしながら、父の謎を追う物語だ。フランク・o・ゲーリーやフィリップ・ジョンソンなどの著名な建築家から同僚、カーンをよく乗せたタクシーの運転手、カーンの両親、本妻やふたりの恋人、その子どもたちなどさまざまな人の口から出る尊敬も批判も撮る。

カーンが完成を見ずに亡くなったバングラデシュの国会議事堂の広場で、ヨガを楽しむ早朝の市民は、見知らぬこの建築家にとても感謝し、ナサニエルを歓迎する。貧しい国だからこそ必要な誇り高い建築、対話の場。


バングラデシュ国会議事堂 (c)2003 The Louis Kahn Project,Inc.


カーンは常に新しい要素をぶつける。コストもかかる。「クライアントとぶつかる完璧主義者」という人もいれば「芸術家」という人もいる。同時に、素材となるものも、人間も愛し、ベストを尽くすひとりの人間でもあったと思う。

ソーク生物学研究所(カリフォルニア州)
(c)2003 The Louis Kahn Project,Inc


ナサニエルがソーク研究所でスケートボードをするシーンがいい。父の庭で遊ぶ子ども。作品から人間性を受け止めるのは、使う人、見る人。





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