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映画三昧

前回から引き続き映画について、レンタルした作品からまず…
『君とボクの虹色の世界』(2005年)は、監督、脚本、主演の3役をこなしたミランダ・ジュライの処女作である。彼女は、この映画に登場する役柄にうってつけと思われる気の弱そうな女性だが、この映画でもっとも興味深いのは、アートと現実の日常生活との間の埋めがたいギャップだろう。それがきっかけとなってストリーが展開される。それを観ながら思ったのは、人間は、つねに偉大なものばかりを追求してきたアートよりも、卑小で虚弱なのだろうか、ということだった。登場人物はみな、どこか変で孤立している。しかし終わりになって、その哀しさが満ちたとき癒しが生まれ、アートとの隔たりが奇跡的に消えた。一人の少年が、永遠に触れたのだ。カンヌ国際映画祭、カメラドール(新人監督賞)受賞。

『ピュア』(2002年、ギリーズ・マッキノン)。繊細な人物描写の映画で、人間の細やかな感情の襞を捉えて見事。日本で有名なマイケル・ウィンターボトムの主観的な世界より、このような社会的視点を含む物語に、私は好感を抱く。実際、イギリス映画はこの傾向のものが少なくないが、この映画には娯楽性(家族、ジャンキー)もあってスペクタクキュラーである。しかしながら、その分だけ甘く(ファミリーロマンス、麻薬更生物語)なったことも否めない。「なぜ、人間はジャンキーになるのだろうか?」ベルリン国際映画祭、マンフレッド・ザルツゲーバー賞受賞。
アイルランド出身のニール・ジョーダンの新作は、ティファニーならぬ『プルートで朝食を』(2005年)。代表作『クライング・ゲーム』(1992年)同様、トランスヴェスタイトの主人公を中心に、彼女の放浪の物語を波乱万丈に展開する。とはいえ舞台は、北アイルランド紛争の過酷な時期で、『麦の穂をゆらす風』の後日談とも言えるこの物語の主人公を、同じキリアン・マーフィが演じている(彼は、ダニー・ボイル監督の『25日後…』に主演した)。行く先々で非情な政治に巻き込まれて不幸に見舞われるが、母親探しの最後で父親を見つけ出すという、トランスジェンダーに相応しい結末を迎える。主人公の脇を固めるのはジョーダン作品に常連の演技陣だが、70年代の甘ったるいラヴソングを背景に、物語が巧妙にドラマティックに進行すればするほど、気の抜けたサイダーのような味気なさを感じるのは、私だけだろうか?

ミヒャエル・ハネケの最新作『隠された記憶』(2005年)は、カンヌ国際映画祭で3つの賞を獲得した。〈他者〉をめぐる非物語的な物語である。物語は他者の側にあって、それを無限後退の監視のような映像のなかで、主人公の記憶の襞を追いつつ映画は進行していく。そして、「罪」という概念の輪郭が描かれるところで終わる。彼の映画を虚構ではなく現実と思わせるものは、その内容のシリアスさや「単純な残酷さ」ではなく、他者の効果による非物語性である。
2002年のベルリン国際映画祭において、『月曜日に乾杯!』で銀熊賞と国際批評家連盟賞を獲得したオタール・イオセリアーニ監督が、故郷グルジア時代に製作した『歌うつぐみがおりました』(1970年)は、無類の女好きの青年が、交通事故で亡くなる前3日間の話である。だからといって悲劇ではなく、彼の不実で無頓着な行動を媒介にして、グルジアの首都に住む市民たちの日常を浮かび上がらせて清新。フランスに移住した後、社会主義崩壊後にグルジアに戻って撮影した『群盗、七章』(1996年、ヴェネツィア国際映画祭、審査員特別賞受賞)は、グルジアの3つの時代(中世、社会主義成立時、社会主義崩壊後)に共通する暴力(戦争)をテーマに、それが引き起こす悲惨をユーモアを交えて淡々と描き出す。

UPLINKで、『パラダイス・ナウ』(ハニ・アブ・アサド監督、2005年)を観た。ごく普通の若者が、彼らの生きる過酷な日常のなかでテロ行為に走る。これは、ドキュメンタリーではない。フィクションでもない。その両方を超えている。この映画がこのようになったのも、あの現実がそこにあるからである。

2枚の写真は、6月初めまでトーキョーワンダーサイト(本郷)で行われていた「Index#3展」の展示風景。





京都の相国寺天承閣美術館で開かれた「若冲展」は、水墨画、動植綵絵とも筆舌に言い表しがたく素晴らしかった。まさに圧巻の展覧会。若冲に乾杯!



6月に入ってすぐ、広島市現代美術館で開催されている「新公募展」の審査に加わった。入選作のレベルは非常に高い。このレベルまで来れば、審査員は自らの趣味を基準に入賞作を選ぶほかはない。個人に訴えてくる際の表現の強度を尺度にした判断だが、そこに概念の入り込む余地がある。いずれにせよ、大賞を取ったchim|Pomにも乾杯!










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