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LOOKERS INTERVIEW No.007(2/2) 


LOAPS:岡田さんは精神科医でいらっしゃいますけれども、精神科医としてアートを見ると、コレクターの目で見るのと違いますか?


どうなんだろうね、僕は一般的にね、いろんな自分の持ち物、例えば洋服だとか靴だとか車だとか、インテリアとかもそうかも知れませんが、それってある種の自分の内面の投影だと思うんですよ。その中で一番投影度が高いのはアートだと思うんだよね。
たとえば洋服だったら本当はこういうのが好きなんだけど、今のトレンドを意識してそれに合わせた物を買ってしまうじゃないですか。自分の内側の投影度からしたらそれは全然ゼロじゃないかもしれないけど、このジャケット買うのが自分の投影度30%だとしたら、アートは自分の投影度の率としては100%ではないだろうけど、70%とか80%とかそういう感じがします。だから、自分の内面の投影がそこにあると思うので、(精神科医として)そういう意識で見てるというのはあるかもしれませんね。
LOAPS:よく友達と初めて会った時、「音楽はなに聞くの?」ってそれでちょっとその人のアイデンティティが解るっていうのがありますが、それと近いかもしれませんね。
だから洗練された作品を好まないのは、自分を知っているからで、自分は野暮ったいものが好きで、自分の内面に無いものは買えない。洗練されたスッキリしたものは不得意だし、自分は買っちゃいけない。
ある意味、自分の心の鏡を張り巡らしてるような感じで「自分を眺めてる」みたいな感じですね。
あと結論めいたことを言うと、「アートと精神医学って全然違いますね」って言う人もいるんですが僕は同じだと思っているんです。極端な話、精神科や心療内科に通ってくる方っていうのは自分の内面にある病理を症状として出していると思うのだけど、作家っていうのはそれを作品という形で出しているんだと思うんです。根本的にどんな人間の内側にも、自分も含めておかしいところってあると思うんです。だから、僕の中では、仕事モードと美術的なものに関わっているときのモードは全く同じですね。

最終的には自分自身を知りたいという欲求だと思うんですよ。
死ぬまで解ることなく、死んでいくんだと思うんだけど、それに向かって衝動が沸いてきて、いろんな患者さんと会いたい、知りたい、いろんなアーティストを知りたい、というのは、究極のところは人間そのものを理解をしていきたいという欲求なんだと思います。
LOAPS:岡田さんが作品を飾るという事は、今、鏡みたいとおっしゃいましたが、音楽とかだと落ち込んだ時に聴いたら元気になるとか、バックだったら持ち運べるし、これ持ってるんだよって見せれるとか、いろいろな効果と機能があると思うですが、アートってそういうのが無いから買う動機が難しいと思うのですが?
一般的なことで言えば世の中って合理主義のなかで動いているわけじゃないですか。でも、それだけだと人間っておかしくなっちゃうと思うんですよ。
絵画とか芸術っていうものは全く矛盾に満ち満ちててそれがあるだけで、やっぱり、人間性の回復とまでは大げさなことは言いたくないけれども、ただの無味乾燥なアパートでも、その作家のなんというか魂がこもったものがあるだけで、その風景は一変すると思うんだよね。
それは絵画っていうのは物質だけど、キャンバスは麻から出来てて、上には絵の具が塗ってあって、絵の具にはカドミウムとかニカワが混ざってて、物質だしマテリアルなんだけど、「ここにあってここにないもの」もっと精神的な存在、メタな存在なんですよ。そういうものが部屋にあるだけで、非常にあいまいであまり使いたくない言葉だけど、やっぱり豊かになると思うんですよ。「人間はやっぱりロボットじゃなくて動物じゃなくて人間なんだ」みたいな当たり前なことを、作品一枚あるだけで再確認できると思うんですよ。
大げさに言えば、それは世界に開いた窓みたいなものだと思うんですね。優れた作家のものであればそこと世界がつながっているわけですよ、小さな部屋だってそこを通して世界とつながっているという気にもなれるし、こういう時代だからこそ、むしろ合理的じゃないもの、が必要だと思います。
LOAPS:若い人なんか特に部屋が狭いし、お金もないから絵なんか買う余裕のない人も多いと思うのですが?


それは物理的に小さい作品買えばいいじゃないかという話とは別に、僕なんかは最初に買った作品はシュナベールの大きなポスターなんだけど、その前はいろんな画集、それがコレクションの始まりなんです。
お小遣いをためて画集一冊あるだけで、それは何もないよりはいいと思うし、たとえば極端な話、三畳一間に住んでても、いろんなギャラリーや美術館に行って生の作品を見たり、作家に会ったりして、その記憶が自分コレクションだと思えば一枚も作品なくたって部屋の中はアートの精神にあふれると思うんですよ。
それは極論なんだけど、いいアートブック一冊でもいいと思うし、ちょっとお金があったら、ポスター一枚でもいいと思う。それに関わる、それを考える精神性みたいなものが一番大切だと思うんです。
たとえば物理的にすごくお金があって、誰かにまかせっきりで巨匠のマスターピースを買って部屋に並べてるよりは、なにも部屋になくたって本当にそれに影響を受けて、自分の気持ちの中でそういうアートと会話をしている、アートに囲まれていれば量的な問題とは関係ないと思うんだよね。
LOAPS:LOAPSに出しているアーティストに一言いただけますか?
やっぱり一番信じられるものというのは、自分の内側に眠ってる情報なんだと思うんだよね。
外のいろんなものを吸収する必要はあるんだけど、最終的には自分の内側に眠っているものをちゃんと測量して、それをどんな形でもいいから作品化していく、その内側の情報度が高ければ高いほど、僕はいい作品なんだと思うんです。結局、情報の密度なんだと思うんですよ。

ちょっと話が飛んでしまうんだけど、僕のクリニックなんかでは、口コミで僕が絵が好きだという事がだんだん知られちゃって、患者さんが絵を持って来てくれるんですよ。クリニックではプロの作家ではなくて、患者さんの作品を飾ってるんですが、やっぱりその中でもいいものはいいですよ。

外に目を開いて、色々な情報を吸収して自分の内側で科学変化をおこさせて、自分の中にあるオリジナルの情報をなるべく忠実に、変なトレンドだとか、(世の中の)おかしなのものに負けないで、その内側にあるものをなるべくパーセンテージを落とさずに表現してもらいたい。
100%っていうのは余程の天才でもないかぎり不可能なんだろうけど、10%よりは30%の本物の内面性があるほうがいいし、30%よりは70%の方がいい。だから内側の自分の情報、それはその人によって色々あると思うし、時には病理みたいなものなのかもしれないけど、それをなるべく忠実に再現するような姿勢で作品を作っていけば きっといい作品になると思います。
LOAPS:コレクターって大きく分けると2パターンいると思うのですが、1つはアーティストと全く触れ合わないタイプと、買ったアーティストとより深く関係をもって継続していくタイプ。岡田さんは完全に後者のタイプだと思うですが、その延長線上として、今度六本木で数名のメンバーでギャラリーを始めて、直接アーティストとより深く関係を持っていかれてるのですが、その場所で作品を見てもらうチャンスはあるのでしょうか?


もちろん大歓迎ですよ。週に何回かは顔を出しますし。今、マジカルに関わることになって一番楽しいのは美大とかまわって、若い作家のアトリエとか見て歩いて、変に毒されていない作家の卵というか、もうすでにアーティストなのだろうけど、そういった人達に会えるのが楽しいんです。共感出来る作品を作ってる人っていうのは、年も離れてるんだけど、似通ったところがあって、ホント友達みたいになっちゃうんで、若いヤツと汚れていないコア部分で関係が持てるというのが、なによりも財産だし楽しいですよね

※岡田さんに作品ファイルを見てもらい人は、マジカルアートルームがファイルをお預かりします。
http://www.magical-artroom.com/
info@magical-artroom.com

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作品解説


千葉マサヤ
まだコマーシャルギャラリーではやってない人なんだけど、紹介されて家に遊びに来てくれて、その時気に入って作品を買いました。いつかマジカルでやろうと思ってます。



加藤泉
ひょんな事でずいぶん前に知り合ったペインターです。すごく気が合ってずっと友達付き合いをしてますが、その頃はコマーシャルギャラリーとかでは全然やってなくて、3年ぐらい前かな小山君から何か出来ないか?と言われて、第一回魔術的芸術展というのをやって小出ナオキ君と(※)KATHYとのグループ展をやりました。



小出ナオキ
加藤泉さんが連れてきたアーティスト。僕もアーティストだっていうんで作品をみたら一発ですごく好きになってしまって。その時の作品は14歳の少年の立体で血だらけのバットをもって血のりの上で犬が死んでいるって作品で、すごく気に入ってすぐに持ってきてもらったんですよ。



フランチェスコ・クレメンテ
さっきも話したんだけど、昔一番グッと来たのがニューペインティングの衝撃だったんですよ。その時の僕のアイドルの一人がクレメンテだったんですよ。当時、そんなクレメンテのペインティングがうちに来るなんて、予想もしてなかったんだけど、念ずれば花になるというか、いろいろな縁があってうちに来ることなったんです。



曽根裕
こないだ偶々展覧会の合間に曽根裕さんが遊びに来てくれて、飲んでいる間に「作品を作るよ」なんてい言い出して、彼一流の話術に聞き惚れながら、最終的にそこら辺にあったタダの紙切れから最後はドローイングが丸まって、アートが出来上がっていく過程が面白くて、ついでにその時使った鉛筆もこれも作品にしておくよ。なんていう感じで(笑)。



ディノス・チャップマン
お風呂場に展示されている作品。


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注)KATHY:キャシー。国内だけでなく海外でも活躍中の黒いストッキングで顔を覆い、金髪のカツラをかぶった女性3人のパフォーマンスユニット。

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