LOOKERS INTERVIEW

SPECIAL INTERVIEW

LOOKERS INTERVIEW No.008 



タカ・イシイギャラリー代表 石井孝之氏

日本を代表する現代美術ギャラリー。
主に国内外の写真を使ったアーティストを扱い国際的に活躍。取り扱い作家には、荒木経惟、森山大道、ラリー・クラーク、ダグ・エイケンなど大御所写真家の他、村瀬恭子や竹村京など新進気鋭のアーティストも所属している。
タカ・イシイギャラリー
www.takaishiigallery.com

LOAPS:なぜアートディーラーになったのですか?
ロスアンジェルスに留学生として渡ったのが1982年で、その時は別にアート専攻ではなく、ファッション専攻で行ったんですよ。語学スクールと大学で一年間英語を勉強して。その後1年間ファッションデザインを学んだ後、ファインアートに進んだんです。 ペインティングが好きでずっとやっていたんですけど、人に頼まれて版画とかを中心に作品を買って売ったりしていたんですよ。アンディーウォーホルですとかリキテンシュタインとか…。プライベートディーラーのようなことをやっていたんですね。それがアートディーラーになったきっかけですね。
LOAPS:なぜ絵を描き始めたのですか?
それは人との出会いだったんです。彼はシンガポール人でファインアート専攻だったんですよ。僕はアジアから来た留学生という感じだったんですけど、ニューヨークに住んでいた彼から影響を受けてファインアートに進みました。
LOAPS:絵を描いていたのに、ギャラリーは「写真」というイメージが強いですが?
(※)ラリー・クラークをテンポラリーコンテンポラリー(現ロサンゼルス現代美術館・ゲフィン・コンテンポラリー・アット・MOCA)で初めて見て、美術館であんな内容の作品が展示されていて、アメリカの10代のセックスとドラッグと暴力がリアルに描写されていて、「ありえないな!」ってショックを受けたんです。 写真と現代美術が混じり合ってきたころですごく面白い時だったんです。それで1994年にギャラリーをオープンした時に最初のアーティストとしてラリー・クラークの展覧会を開催してスタートしたんです。 その時、オープニングに(※)荒木さんがたまたまオープニングに来てくれていて、「展覧会やりませんか?」って話したらOKを貰ったんです。偶然、写真のアーティストの展覧会が続いちゃったんですよ。そういうのがあって写真のギャラリーというイメージがついたのかもしれませんね。


ラリー・クラーク「タルサ」
発行:タカ・イシイギャラリー 1996年

LOAPS:荒木さん以外にも森山大道さんなど巨匠ともいえる写真家を取り扱われていますが。
当時は(※)ツァイトさんとかの写真を扱ったギャラリーはあったのですが、まだ日本ではまだ数が少なく、それだけビジネス的には難しかったとはいえ、他に同じ様な事をやっているギャラリーが少なかったので、思ったより楽でしたね。  森山さんに関してはある写真雑誌の編集長さんに電話番号を聞いていきなり電話をかけてギャラリーに来てもらったんです。それで展覧会と同じくして写真集も発行しました。「狩人」というタイトルの作品集です。 その当時、ラリー・クラークや荒木さんなどの巨匠は売れるんですけど、一般的には写真はなかなか売れなかったですね。 最初はビジネス的には決して楽ではなかったんです。


石井さんが出版した森山大道の写真集「狩人」

LOAPS:いつぐらいから状況が変わったんですか?
やはり海外のアートフェアに出展していくようになって徐々に状況が変わっていきましたね。日本だけでなく世界のアートマーケットを意識した動きが出来る様になってはじめて軌道に乗ってきました。
LOAPS:やはり日本と海外との温度差はかなりあるものなのでしょうか?
日本と海外では大きな違いがありますね。ヨーロッパやアメリカではアート写真の大きなマーケットがあり日本ではあり得ない価格で作品が取引されていて、それが実際に売れていくんですよ。特にビンテージ写真なんかは大きな価値がありますね。 まだ日本ではビンテージをまとめてコレクションして取り扱っているギャラリーがないので、いつか将来的にはやってみたいと思っています。
今後、どのようなアーティストを扱っていこうと考えていますか?
ギャラリーとしてはリプレゼントとして所属アーティストは主に2年に1回程個展を開催しております。若いアーティストには私が別の場所で運営しています(※)「ギャラリーsora」を提供しています。



近年写真業界は大きくデジタル化の波があったと思いますが、ギャラリストとしてどのような影響を受けましたか?
デジタル写真用のラムダプリントのレベルは年々良くなってきてますが、まだ印画紙によるプリントと比べると固い質感になってしまいます。特に問題なのは多くのメーカーが印画紙の生産を中止した事、それとアート系の写真をプリントを出来るラボがどんどん減っているんですよ。ですからアーティストがまだ焼いてなかったエディション作品を新たにプリントすると調子が変わっちゃう事もあるんですよ。数年前では考えられない状況ですね。
宜しければ次回の荒木経惟さんの展覧会についてお願い致します。
(※)「色淫女」というタイトルで、モノクローム大全紙のプリント9枚を一組みにしてその上にペインティングをした大きな作品を全部で19点展示します。同時にアートンという会社から同じタイトルで写真集が出ます。


Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery
最後にLOAPSに出しているアーティストに一言いただけますか?
若いアーティスト達に言えることは「作品を見て欲しい」ですね。見るという事が一番大事だという事を知って欲しいです。よく、本や雑誌で見て知った気になっている若い人が増えているような気がします。自分で美術館やギャラリーに足を運んで実際に目で作品を体験する事がいずれ大きな財産になると思います。ここ清澄白河でも海外のアートシーンとタイムラグのない内容の展覧会がおこなわれていますので、ぜひ足を運んで欲しいですね。

注)ラリー・クラーク:Larry Clark、写真家、映画監督、1943年生まれ、アメリカ・オクラホマ州タルサ出身。1971年に写真集「タルサ」を発表、その後12年のブランクを経て写真集「ティーンエイジ・ラスト」で復帰、95年には「KIDS」で映画監督デビュー。
注)荒木さん:荒木経惟:日本を代表する写真家。世界的に高い評価を得ている。:http://www.arakinobuyoshi.com/
注)ツァイト:ツァイトフォトサロン(ZEIT-FOTO SALON) 日本ではじめて写真を専門に扱ったギャラリー:http://www.zeit-foto.com/
注)ギャラリーsora:http://www.gallerysora.com/
注)「色淫女」展:http://www.loaps.com/map+index.id+21.htm


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