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LOOKERS INTERVIEW N0.011 第ニ回 (2/2)

LOAPS:現在行われている横浜美術館での『日本X画展』(*)への出展作品ですが、部屋一面に紙を張り巡らせて描き連ねるというアイデアは前からあったのですか?
そうですね。マンガって限界があるじゃないですか。限界というか、必ず終わりまで考えなきゃいけないとか、オチをつけなきゃいけないとか。一枚の絵をとってみても、枠の中に収めなきゃいけないとか。だからものすごくマンガの絵っていうのはコントロールされた絵なんですよね。それって面倒くさくて、一度コントロールされない絵を描きたくて。ものすごくいい加減に描いていって、これ人に見えるから人にしちゃえ、みたいな。そういう楽しい絵を描いてみたかったんです。壁全面に紙を貼っちゃうと、どこから描き始めてもずーっと描いてられる。部屋中が紙だとレイアウトを考えなくていいですから。


LOAPS:今回の横浜美術館での展覧会への参加に際して自然にいけましたか?それとも、ものすごく緊張されましたか?いつものマンガを持ち込んでみよう、とか、あるいは、ちょっとモードを変えて参加してみようとか。
美術館で制作を始めて最初の1日2日はそりゃもう緊張しましたよ。あんな大きな絵を描いて、多くの人に見てもらうっていうのは初めてですし。ただそれは、アートかマンガか、という意味での緊張とはちょっと違いますよね。オチもなにもない純粋な絵を見てもらうという緊張感、それに描き始めたときは、描き終えることができるのかどうか心配でした。一週間くらしかないのに、大きな真っ白い空間を埋めなきゃいけなかったから。
LOAPS:横浜美術館での制作風景をご自身のサイト上でビデオブログ的に発表されていたのがとても印象的でした。DVDの特典などでよく付いてくる完結したメイキングビデオではなくて、日記のようにその都度アップしていくというのは、しりあがりさんのアイデアだったのですか?
そうですね。アイデアというか、ちょうどあの時期にビデオカメラを買っちゃったんですよ(笑)。それで記録として撮っておきたかったし、見せるんだったらできるだけリアルタイムで見せた方が面白いだろう、って感じで。そんなに意図とかあるわけじゃないですよ、あれは(笑)。でも、メイキング込みでの作品はこれから可能になっていくでしょうね。現代アートの世界ではそういった作品はたくさんあるだろうけど、自分でもそういう、出来上がったものだけではなくて、過程込みの作品っていうのがこれから更にできるかもしれません。例えば今は、ポッドキャスティング用に「シバラレダイン」の制作風景などを作っています。


LOAPS:今、アートの世界ではクロスジャンルと言われていますが、例えばしりあがりさんがファインアートの世界で活躍されたり、村上隆氏がアニメの世界で発表を始めたように限られたフィールドにとらわれず、本物を作る人が評価される時代になってきているのではないか、と言われています。これは、インターネットを中心に膨大な情報が流れている現状において、自分が本当に必要な情報が分からない、というのではなく、逆にこれまで知らなかったフィールドからもいいものを発見できるということに繋がるかもしれません。そういった現象に対してどう思われますか?
うーん・・・僕は必ずしもいいことだとは思わないんですよ・・・例えばアートに関しては、その背後で美術館やアートの世界が市場を拡大しようとしているんじゃないかという気がして。人気がある人とか、あるいは作品でも分かりやすいものとか、そういうものを取り込もうとしていると思うんですよね。要するに、強い人にはいいし、弱い人には辛い。弱肉強食が垣根を越えて進んでいるってことなんだろうなと思いますよね。それに、情報が多くなればなるほど、目立つものって限られてきて、視覚的インパクトが重要になったり、そこまで持ち上げるマーケティングが重要になったりして、何がいいのかっていう基準が分からなくなってくるんじゃないかという気がします。必ずしもそれが悪いとは思ってなくて、ただその中でどう生き残っていけばいいのかな、って(笑)。止めようがない現象ですしね。
LOAPS:でも、しりあがりさんのスタンスは非常にバランスが取れていて理想的ですし、そういったバランス感覚がしりあがりさんの強みなのでしょうね。最後に、若手アーティスト、クリエーターにしりあがり流アドバイスをぜひお願いできますか?多くの人が、やりたいことがたくさんあっても、そこでどうやってバランスを取っていくかに腐心していると思うのですが。
そうですね、ある人がどのジャンルでなにをしようと、結局はその人のブランドイメージだと思うんですよ。それをやっぱり自分で意識できるかどうか。もしできないのであれば、それをできるアシスタントをつければいいし。ブランドイメージっていうのはすごく大切になってくると思います。というのも作品の良し悪しというものが明確に判断されなくなってくると思うんですよね。そうなると作家のブランドイメージで人は作品を手に取ったりするじゃないですか。例えば小説なんかは、昔はいろいろと読み比べて良し悪しが分かったけど、今じゃこの忙しい中そんなに読む暇なんてないじゃないですか。そうなると、みんな最初から作家の名前や流行で選んじゃう。嫌な言い方だけど、そうした状況においては表面的なイメージがだんだん重要になってくるような気がして。それを嫌がるんじゃなくて、もうしょうがないんだから(笑)、意識せざるを得ないというか。だからくだらないものを作ってても上手くやりゃあ一発当たるかもしれないし。そのくらい軽く考えればいいのかもしれないし。まあ、頑張んないとね。もう障子紙さえ貼ってくれればどこにでも行きますので(笑)。



注)『日本X画展』:横浜美術館で開催中のグループ展。江戸以前の伝統的な日本画にあたらな価値を見出すアーティストを紹介している。しりあがり氏の他に、松井冬子、中村ケンゴ、藤井雷らが参加。(2006年9月20日まで)
http://www.yaf.or.jp/yma/exhibition/2006/special/02_gaten/index.html




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