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LOOKERS INTERVIEW No.012(2/2) 


LOAPS: 博報堂ケトル創立のきっかけを教えてくださいますか。
一般的に広告業界ではやっぱり、CMとグラフィック広告が中心にすえられるわけです。ただ、僕は20代の頃、新聞、雑誌、番組という今ではコンテンツビジネスと呼ばれること、本来の広告業界の基準からいうとどちらかといえば外れたことをやっていました。そういう体験を通じて人に対してのメッセージを体験と一緒に伝えるっていうのは、いわゆる従来の広告という形でなくてもいいって思ったわけです。それはお店、宿泊施設、飛行機だったら機内のサービス、レストランだったらその空間などあらゆる情報のチャネルがあるわけです。確かにテレビCMは短時間で大量の人に情報を伝えられるから効果的で、自分達の会社ももちろんCMを中心としたキャンペーンも手がけているわけですが、全てのメッセージをCMにのせればいいというわけではない。もっと、オールタナティブな考え方が出来ないかと思ったのが会社を立ち上げたときの思いです。メッセージとメディアをニュートラルにとらえて、最も適した形で世の中に伝えたい。「恋と戦争は手段を選ばない」ってコピーがすきなんですけど、まあ、既成の概念にとらわれずに一番効くことをやろうっていう方針です。


LOAPS:広告とアートはどのようなところで関わっていけると思いますか。
僕は広告業界にいるけれども、いわゆる広告だけがコミュニケーションの答えじゃないと思っています。新聞や雑誌を作っていたので、広告業界のコピーライターやアートディレクター、デザイナーという方々より、マンガ家、現代美術の作家、建築家といった方たちと知り合う機会が多かったんです。世の中に対するコミュニケーションはもちろん広告だけじゃないわけだから、そういう方たちが作るものでも世の中にメッセージとしてどんどん伝わっていくので、広告とアートを分ける線は意識してないです。そういった意味で僕は昔からアーティストが広告をやってもいいと思ってます。空間プロデューサーとお店を作るのも広告だし、この前も(*)東京コレクションで携帯電話を発表したので、ファションデザイナーと企業のコラボレーションが実現しました。もし、それが一番効果的であればCMを作りますし、写真集を出せばいいと思えば写真家と写真集を作りますし、アートブックを出した方が良ければイラストレーターやアーティストと本を出して、どれをどんな店で売ればいいのかなど戦略を立てます。大きい潮流としては、広告とアートはそれぞれ越境して影響を与える情況になってくると思いますよ。
LOAPS:LOAPSを見ての感想を教えてくださいますか。
イラストレーションやファインアートなどが混在しているところがすごいですね。あらゆるものを一覧で見られるところがおもしろい。日本人は情報を整理整頓しちゃうけれど、情報ってしまった途端に死んじゃうじゃないですか。例えばファイルに入れて名前を書いたらもう2度と見ないでしょ。だから情報は整理整頓せずに、放牧させておいた方が良い。鴨とアヒルを混在して飼わないと合鴨は生まれなかったわけですよ。いつ何と何がくっつくかわからない。情報と情報が情報を生んでいくんです。そういう点で作品が混在しているところ、自由にどんどん駄作も秀作もアップされるのはいいですね。


LOAPS: LOAPSの中には広告業界志望の人もいるわけですが、彼らに伝えたいメッセージはありますか。
広告業界では、アーティスト的感性も大事だけど、やっぱり世の中の人が何を求めているか、情報発信のためには何をするべきか、したいのかをいかに理解できるか。そこを企業が求めるものに上手く繋げられるかという点で、いろんな人の気持ちが大事になってくる。人の気持ちを大事にしないといけない仕事ですね。そこが突破出できる人と突破できない人はアーティストの中にもいますが、突破できる人とは一緒に仕事して楽しいけれど、そうじゃない人は自己満足で終わってしまいますね。
LOAPS: ズバリ、次にやってみたいことは何でしょう。
お茶をやってみたいですね。お茶は総合芸術ですからね。あとは、美術館と博物館の展示に関する仕事に関わりたいですね。海外に行く度に思うんですが、例えばパリのポンピドゥーなんかやっぱりすごい。収蔵作品は同じなのに、いつも違う見せ方で常に新鮮さを保っている。ロンドンの自然史博物館も好きですね。キュレーターって編集者と似ていると思うんです。知的コンテンツをいかに編集してプレゼンするかってことじゃないですか。だからいい展覧会を見ると頑張らなきゃなって思いますね。日本の美術館、博物館にもはっとさせるプレゼンをしてほしいなあと思うわけです。ただ最近、国立博物館なんかは面白くて、(*)縄文VS弥生っていい企画だったし、(*)若冲展の見せ方も面白い。例えば、全然タイプの違う(*)円山応挙と(*)伊藤若冲がそれぞれ描いた虎の絵を上野動物園の虎の飼育係と見る、っていう企画なんてかなり最高。まあ単純に、海外の美術館とか行けばカフェがあってワインが飲めて楽しいなっていう、日本の美術館もそんな環境にできたらいいなって思います。そこにどう介在して、どうビジネスが出来るかっていうのはわかりませんけど、そうやりたいですね。




注)東京コレクション:9月上旬に開催された東京コレクションでソニー・エリクソンの携帯電話を発表した。携帯電話をモチーフにデザインされた洋服でモデルが登場し、斬新なアピールとなった。

注)縄文VS弥生展:2005年に国立科学博物館で開催された縄文と弥生にスポットを当てた特別展。

注)伊藤若冲:江戸時代の京都の絵師。

注)円山応挙:江戸時代中期の絵師。円山派の祖。







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