SPECIAL INTERVIEW No.001
SPACE FOR YOUR FUTURE 長谷川氏インタビュー (1/2)
SPACE FOR YOUR FUTURE 長谷川氏インタビュー (1/2)

キュレーター 長谷川祐子氏
東京都現代美術館チーフキュレーター。SPACE FOR YOUR FUTURE - アートとデザインの遺伝子を組み替える 展(2008年1月20日まで)をキュレーション。
批評を基幹に据える国際派キュレイターとして、水戸芸術館現代芸術ギャラリー、ニューヨーク・ホイットニー美術館研修、世田谷美術館、金沢21世紀美術館で活動、2005年のマシュー・バーニー展など多くの斬新な現代美術の展覧会を手掛ける。2006年より東京都現代美術館チーフキュレーターを務める。2001年、イスタンブール・ビエンナーレ、2002年、上海ビエンナーレを企画。写真:石上純也《四角いふうせん》の前にて ( 2007年 Courtesy of Gallery Koyanagi )
www.sfyf.jp
www.mot-art-museum.jp
LOAPS:まず展覧会のテーマについてお話いただけますでしょうか
まずメインのタイトルなんですけれども、これは立体とか空間というものについての展覧会であると同時に、自分自身の身体とか身の回りに関わりのある展覧会であるということを知ってもらうためにSpaceという言葉を使いました。
Spaceというものは、バーチャルという概念が出てきてからすごく多層な意味を持つようになったと思います。私たちはネットワークでつながっていくことができるものを含めてグローバル・ヴィレッジの空間の中にいるわけなので、そのような意味での多様な空間がありますし、自分が本当に持っている身体とか自分の周辺の空間、自分が気に入った環境という意味での情報空間とかすごくいろんな空間があると思います。
だから自分について何か考える時に、むしろ自分がどこにいるのかという、自分のありどころ「在点」としての空間というものを考えていった方が、先の未来や将来を想起しやすいのではないかということです。

そのような個別の話なので、70年代の宇宙開発戦争できそって描かれた「The future」という概念ではなく、それぞれが違う「Your future」を抱かざるおえない、ひとつのものを共有できない時代であるということを暗示しています。
それからこの展覧会で提案されるものの背景にあるもの、今のクリエイティブで面白いとされているものは何かという視点があって、それが「アートとデザインの遺伝子を組み替える」、Cross-Disiplineな状況であるということです。
これは従来のように画家が応用で彫刻を作ったり、デザイナーがリミックスで音楽をつくったりという表層的な話ではなくて、明確なクリエイティブの意図があって、遺伝子組み替えのように他の分野から特定の遺伝子形質を見極め移し変えてきて別の形質を獲得していくという、非常に操作的な領域横断であるということです。

石上純也《四角いふうせん》の前にて
( 2007年 Courtesy of Gallery Koyanagi )

アシューム・ヴィヴィッド・アストロ・フォーカス(avaf)
《anatato vuivui attoteki fukusayo》の前で
(2007年 Courtesy of hiromi yoshii)

トビアス・レーベルガー《母型 81%》の中で(2007年)
Spaceというものは、バーチャルという概念が出てきてからすごく多層な意味を持つようになったと思います。私たちはネットワークでつながっていくことができるものを含めてグローバル・ヴィレッジの空間の中にいるわけなので、そのような意味での多様な空間がありますし、自分が本当に持っている身体とか自分の周辺の空間、自分が気に入った環境という意味での情報空間とかすごくいろんな空間があると思います。
だから自分について何か考える時に、むしろ自分がどこにいるのかという、自分のありどころ「在点」としての空間というものを考えていった方が、先の未来や将来を想起しやすいのではないかということです。

そのような個別の話なので、70年代の宇宙開発戦争できそって描かれた「The future」という概念ではなく、それぞれが違う「Your future」を抱かざるおえない、ひとつのものを共有できない時代であるということを暗示しています。
それからこの展覧会で提案されるものの背景にあるもの、今のクリエイティブで面白いとされているものは何かという視点があって、それが「アートとデザインの遺伝子を組み替える」、Cross-Disiplineな状況であるということです。
これは従来のように画家が応用で彫刻を作ったり、デザイナーがリミックスで音楽をつくったりという表層的な話ではなくて、明確なクリエイティブの意図があって、遺伝子組み替えのように他の分野から特定の遺伝子形質を見極め移し変えてきて別の形質を獲得していくという、非常に操作的な領域横断であるということです。
LOAPS:どのような作品が出品されているのでしょうか
空間ということでも、ファッション、プロダクトデザイン、グラフィックデザイン、建築、フィルム、アートといった出品作家のうち、半数の方々が新作というかたちで様々な提案を出してくださっています。旧作に関してもそのあたりをきちんと見極めをしながら選んでいます。

石上純也《四角いふうせん》の前にて
( 2007年 Courtesy of Gallery Koyanagi )
身体に関わることから、私たちの記憶、メタファーに関わること、建築空間など、大きなものから小さなものまで、様々なアプローチによる空間の提案があります。触れるものもありますし、DAIKINさんのように触れない「空気」の作品もあります。
共通点としてはCross-Disiplineな活動をしているということと、それから観客に対して、モダニズムの場合はひとつの理想、ユニバーサルスタイルを提案していたところが、むしろある程度のところでプログラムを決定しないで掘り出しておいて、それを見る人が完結していく、作品の受容においての共同責任というものを前提としているクリエイター達が非常に多いことが挙げられると思います。
共通点としてはCross-Disiplineな活動をしているということと、それから観客に対して、モダニズムの場合はひとつの理想、ユニバーサルスタイルを提案していたところが、むしろある程度のところでプログラムを決定しないで掘り出しておいて、それを見る人が完結していく、作品の受容においての共同責任というものを前提としているクリエイター達が非常に多いことが挙げられると思います。
LOAPS:コミッションワークということで特に印象的だった作品について教えてください
今回特に一緒につくった部分が大きかったのはavafで、掘っ立て小屋のようなたたずまいの作品です。実際メンバーのひとりはブラジルの出身でそのような非常に汚い住環境を知っていたり、日本でも山谷へ取材に行ってみたりしてつくりこみをしたのですが、そのようなところでも、内側での工夫とかカスタマイズ、自分達の精神の持ちようでどのようなパラダイスをつくりえるかということを見せたユートピア的なプロジェクトだったと思います。

アシューム・ヴィヴィッド・アストロ・フォーカス(avaf)
《anatato vuivui attoteki fukusayo》の前で
(2007年 Courtesy of hiromi yoshii)
ただ廃屋に見えなくてはならないので、日本で廃材を探すわけですがそれはとても大変だったし、彼らの求めているラテン的なもの、キッチュなものが簡単には集められない。そこででも彼らが、例えば単なる半透明の波板を使う時に、違う色のものを数枚並べただけでセンスのよいものができていくのです。
だからそれを見たときに、センスさえよければどんな風にでも暮らせるということを当たり前のことなんだけども思い知る。それを何か外見との比較で見せていくことができていて面白かったと思います。
アピチャッポンの作品もよかったですね。フィルムの作品ですが、彼はFutureというものを考える時に、絶えざる今というものが連続していった先にある、つまり過去が見えていくようなFutureを考えたわけです。
人々の記憶みたいなものがパーティクルな羽毛とか光のような状態になって静かに空間を満たしているのです。そこにアクターやアクトレスが語る個々の記憶がかぶせられるというシンプルな方法なんですけれども、非常に心に残る作品をつくってくれました。
それからトビアスなんかも、東京すなわち日本、アジアという場所で見せるときにどのようにするべきかということを考えてくれました。
最も大変だったのは石上さんでした。最後の最後まで浮くかどうか分からないという状況で朝の4時まで付き合わされて、ダメだったらどうするのかといったことも毎日考えていましたからやはりエキサイティングでした。
だからそれを見たときに、センスさえよければどんな風にでも暮らせるということを当たり前のことなんだけども思い知る。それを何か外見との比較で見せていくことができていて面白かったと思います。
アピチャッポンの作品もよかったですね。フィルムの作品ですが、彼はFutureというものを考える時に、絶えざる今というものが連続していった先にある、つまり過去が見えていくようなFutureを考えたわけです。
人々の記憶みたいなものがパーティクルな羽毛とか光のような状態になって静かに空間を満たしているのです。そこにアクターやアクトレスが語る個々の記憶がかぶせられるというシンプルな方法なんですけれども、非常に心に残る作品をつくってくれました。
それからトビアスなんかも、東京すなわち日本、アジアという場所で見せるときにどのようにするべきかということを考えてくれました。
最も大変だったのは石上さんでした。最後の最後まで浮くかどうか分からないという状況で朝の4時まで付き合わされて、ダメだったらどうするのかといったことも毎日考えていましたからやはりエキサイティングでした。
LOAPS:企業の研究そのものを作品として提示しているものがありますが、どのような意図があるのでしょうか
科学者として何かを実証しようとする時に、絶対的な真実として、確実な1枚のペーパーとして提示できない場合がありますよね。科学というのは100回やったら100回同じ結果が出ないといけない。ただ、これがアートの場合は1回でよいので、その違いをうまく活用しているわけです。
美術館に提示されるものはある意味でのひとつのビジョンとかテーマとかプロポーザルに乗っ取っているメタファーでよいのです。学会には出せないけれども問いたいという部分があれば、それを出すことができるのが美術館のよいところだと思います。
そのような点をDAIKINさんというラボにご理解いただいて出品につながったのは非常にうれしいことでした。
美術館に提示されるものはある意味でのひとつのビジョンとかテーマとかプロポーザルに乗っ取っているメタファーでよいのです。学会には出せないけれども問いたいという部分があれば、それを出すことができるのが美術館のよいところだと思います。
そのような点をDAIKINさんというラボにご理解いただいて出品につながったのは非常にうれしいことでした。

トビアス・レーベルガー《母型 81%》の中で(2007年)
LOAPS:今回は展示室の外、美術館の館内や館外の商業施設でも関連展示が展開されていますが、「空間」がテーマだからなのでしょうか。それとも美術館主導のプロジェクトを多様な方法で模索する動きなのでしょうか。
コンテンポラリーアートミュージアムというのは、基本的に都市の中で皆の生活と一緒に生きていくことが大事だと思っているので、その関係性をいかに循環よくしていくかということです。美術館は新鮮なマッピングとかテーマ設定を行っていく一方で、都市からも活力をもらう、そのような相互的な関係がないと支持もされないし、活力を維持できないと思うのです。
特にこの美術館はロケーションからしても建物の居様からしても、それ自体がメディアになる性質ではないので、いかに皆さんに間接的にでも知ってもらうかということについて意識的でいます。だから今回のようなサテライト的な展示があったり、公園から入って来やすい場所に作品があるということになります。
どのようなところでインターフェースをつくるのかということでは、買うことによって形成されるコミュニケーションというのもすごく大きいですよね。だから買ったら同じものをつくってもいいトビアスのガレージキットや、石上さんの作品をかたどったパッケージのお菓子など、ショップでは持ち帰ることができるグッズも多く扱っています。
(つづく)
特にこの美術館はロケーションからしても建物の居様からしても、それ自体がメディアになる性質ではないので、いかに皆さんに間接的にでも知ってもらうかということについて意識的でいます。だから今回のようなサテライト的な展示があったり、公園から入って来やすい場所に作品があるということになります。
どのようなところでインターフェースをつくるのかということでは、買うことによって形成されるコミュニケーションというのもすごく大きいですよね。だから買ったら同じものをつくってもいいトビアスのガレージキットや、石上さんの作品をかたどったパッケージのお菓子など、ショップでは持ち帰ることができるグッズも多く扱っています。
(つづく)
SPACE FOR YOUR FUTURE - アートとデザインの遺伝子を組み替える 展
2008年1月20日まで
東京都現代美術館 企画展示室 全フロア
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイアル)
www.sfyf.jp
2008年1月20日まで
東京都現代美術館 企画展示室 全フロア
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイアル)
www.sfyf.jp
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