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SPECIAL INTERVIEW No.001 
SPACE FOR YOUR FUTURE 長谷川氏インタビュー (2/2) 

LOAPS:大型の展覧会を企画する際の作家選定について、意識されていることはありますか


30〜40人の展覧会になると、まずは自分が何回か仕事をしていて、人間的にもよく理解しているアーティストを必ず入れます。それからとても若い人でまだ大きな舞台を踏んでいない人、それとは逆に超ベテランの人、そして従来の美術展覧会では入りえないようなジャンルの人を入れていくというのが私の手法です。

自分のコントロールしやすい人ばかり集めてしまうと展覧会としてつまらなくなってしまうからです。

今回に関しては、嶺脇美貴子さんや東泉一郎さんなど、関昭郎さん(キュレーター)の方で選んでいただいた方がいましたので、それについては関さんのお考えを重視して進めました。


BLESS N°32 《フルストフェルナルベル》2007年
Courtesy of BLESSの作品の前で

LOAPS:アーティスト、クリエーターにとって重要な心構えはどのようなことだと思われますか。

重要なのは、自分が何を好きかということがわかっていること、そして自分自身の生活を成立させていくシステム、お金とプロダクションの関係をよく観察していることだと思います。

例えば作品を1点つくって、美術館に100万円でコレクションしてもらうのもひとつの手ですが、対面ショップでマルチプルを1点を1万円くらいにして100点売るという選択肢もあるわけです。

どちらがいいとは一概には言えませんが、ものを提案していく時に、どのような観客とのコミュニエーションの方法をとりうるのか考えるということです。

今回の展覧会で言えば、石上さんはアートの舞台ではありますが、建築家としてひとつの考え方、コンセプトの部分を全面的に提示して理解してもらう分には非常によいプレゼンテーションになっていると思うのです。

美術館というパブリックな枠組みを通したことで、建築関係の人も来るし、ビジネスマンも来るし、アートの人も来るし、彼に関心のあるクライアントが現れ、実際に今までになかったような創造的な建築の仕事をする機会を得ることができる可能性もあるかもしれないですね。

それからものをつくる人の場合、その仕事が好きであることと、その職業にあこがれることは違います。例えばデザイナーという職業に憧れていたとして、「デザイナー」というらしきものになってしまったとたんに満足して、それらしいことをしていればよいという状態になってしまうケースがあります。

仕事自体が好きであれば、つくるだけではなくて、できたものを他と比べてみたりして、どうやったらより豊かなものができるか考えますよね。漠然制作しているのではなくて、辛くてもその点を考えながら続けることができているのかどうかは重要です。


オラファー・エリアソン《四連のサンクッカー・ランプ》2006年 -
Courtesy of Gallery Koyanagi-の前で(avaf)

LOAPS:世界を舞台に活動するにはどのような心構えが必要でしょうか
まず、自分自身がどこから来たのか、何が自分をつくってきたのかということについては意識的でいることが大切です。私のように超伝統的であるから、時として逆側にふられるという方もいると思いますが、それぞれ背景が違うはずですから、自分にとって何が一番興味深いのかということを探り続けることです。

誰かの真似や流行りもの、すでに書かれたものを鵜呑みにするのではなくて、私を形成する要素と何が反応しているのかということに注意するべきです。やっと話すようになった小さな子供が違和感や批判性を感じたとき、「違う」といい、自分にぴったりのものをみかけると「あった」と叫ぶように、そのシンプルさが大切です。

それから、自分のドメスティックな文化的なアイデンティティが、グローバルな経験をしていく中で相対化されていくということがあると思います。

その時に、自分のドメスティックな部分、言語化しにくい感性の部分もバランスよく押さえながら、いかにしてひとつのコンセプトとして発信していけるのか。例えば、相手の文化によってもそのまとめ方は異なります。ヨーロッパに行って話をするときと、アメリカで話をする時とでは、挙げる例が異ったりとか。

外国語に堪能であることにこしたことはありませんが、まずは自分の最も得意とする言語、母国語で問題意識を表現することができることが大切です。それを適切に翻訳するのが次の作業です。

キュレーターであれば、テキストを書けることは重要で、日本の作家についてだけでなく、海外の作家についてでもテキストの依頼がくるようでなければ、だめだと思います。方法面とか知識だけでは十分でなく、自分の“ポジション”が重要です。



LOAPS:若手のアーティストやキュレーターなLOAPSユーザーへのメッセージをお願いします


まず自分が信頼している人、耳に痛い厳しい意見も言ってくれる人にきちんと見てもらって前に進むことが重要だと思います。


自分がよく理解できなかったり強く拒絶したいと思うものから最もまなぶことができるということを念頭において下さい。国際的になればいいというわけではないですが、日本は閉じられた情報の中に偏りやすく、異なった意見を交わして、話し合う土壌の薄い国なので、特に若い方には海外でもできるだけ実物を観に行って、いろいろ意見を交わし、自分自身をオープンに豊かにしていってもらいたいです。


あとはすでに述べたように、システムについて意識的になること。マーケットがないとか、コレクターがいないとか、日本はダメみたいな単純な話に落とし込まないで、自分自身が受けいれられるストラクチャーを見方をかえて、工夫して探してみることです。本当に力があれば、解ってくれる人、ともに協力してくれる人は必ずいると思います。



SPACE FOR YOUR FUTURE - アートとデザインの遺伝子を組み替える 展
2008年1月20日まで
東京都現代美術館 企画展示室 全フロア
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイアル)
www.sfyf.jp





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