| 作品情報: | 「人の耳の奥には、音の記憶をもつ花が咲いているの。 その花は人の耳に入ってきた音を根っこでつかまえて、長い茎に通して、さいごに花びらに集めて記憶するの。 今、あなたの耳から流れてしまったのはその花の根っこ。 通称、耳のきおくの糸。 耳のきおくの糸は、本体の人間がめざめてから次に眠るまでに聞いた音を、いちじ記憶しているのよ。人間が眠るとその音が茎へと流れて、花びらで完全に保管されるんだけど、その前にあなたの右耳からとびでてしまった。 だから、今朝あなたがめざめてから今まで右耳で聞いた音を、あなたは全部忘れてしまったはずよ。」 |
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