| 作品情報: | ああ⋯⋯ 僕は本当に恥ずかしかった。こうして聞き返してみてはじめて分かったんだ。 ストレスためてるのは、ゆう自身じゃなくて、ぼくのこと。 自分のことで一杯なはずなのに、ぼくの行き場のない苛立ちに、いつ気づいていたんだろう。ゆうはきっと、いつでも耳や目をすましているに違いない。 そうだ、 クモみたいに。 ぼくは目を閉じ、耳をふさいで、考えることをしなかった。周りの人も、自分の心も遮断して、なにもしなかった。それがいちばん簡単だからだ。ゆうにイライラしたのは、目も耳も、ちゃんと開いていることが自然で当たり前な彼女と比べて、自分が嫌で情けなかったからなんだ。 |